相続に関する民法の改正1(配偶者居住権)

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相続に関する民法の改正1(配偶者居住権)

2019/12/01

相続に関する民法の改正1(配偶者居住権)

 民法がいろいろと改正されていきますが、今年から段階的に相続に関する法律が大きく変わっていくようなので書いていきたいと思います。

 まず今回は、新たに新設される権利である配偶者居住権について書いていきます。これは2020年4月1日に施行されます。

 どんな権利なのか?について、具体的事例をあげていきます。相続財産がマンション2000万円、現金2000万円であり、これを妻と子1人で相続する場合、今までの法律だと、妻がマンションに住み続けるつもりであれば、妻がマンション2000万円、子が現金2000万円を相続することになります。これだと妻は住むところはあるものの現金が手元に残りません。今回の改正後の法律だと、マンション2000万円を配偶者居住権1000万円と条件付きの所有権1000万円に分離し、妻がマンションの配偶者居住権1000万円と現金1000万円、子がマンションの条件付きの所有権1000万円と現金1000万円を相続することになります。これだと妻はマンションに住み続けられ、かつ手元に現金が残ることになります。このように、配偶者居住権は住んでいる家の権利を分離することにより、配偶者の住み慣れた自宅に住み続けられる権利を守りつつ、遺産分割協議を円滑にする目的で創設されることとなったようです。

 注意点として、配偶者居住権は、相続が発生した時点で配偶者が住んでいた自宅にだけ認められます。ですので、別居中の夫婦の場合は認められないようです。また、配偶者居住権は登記をしなければ効力が発生しません。子は妻が亡くなると建物の完全な所有権を取得することができますが、親子の仲が悪い場合、子が勝手に建物を処分することが考えられます。これを防ぐため、配偶者居住権を建物に対して登記しなければいけません。さらに、配偶者居住権は売却や相続はできません。

 権利の登記ですので実務は司法書士が取り扱うことになるので、施行後の相続に関しては司法書士に問い合せていただければいいと思います。

 

続く