相続に関する民法の改正5(自筆証書遺言の保管制度の創設)

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相続に関する民法の改正5(自筆証書遺言の保管制度の創設)

2020/01/01

相続に関する民法の改正5(自筆証書遺言の保管制度の創設)

 今回の相続に関する民法改正のトピックは、「法務局による自筆証書遺言の保管制度の創設」です。これは2020年7月10日から施行予定です。

 前回取り上げた自筆証書遺言ですが、自分が亡くなるまでどこに保管しておくか、というのはなかなか難しい問題です。公正証書遺言であれば公証役場が原本を保管してくれますが、自筆証書遺言は自分で管理しなければならず、自分が亡くなる前に誰かに見つかることを恐れるあまり、相続が始まっても誰も見つけられず、引っ越しや解体時に見つかるというケースもあるようです。その場合、遺言書の内容によっては遺産分割協議のやり直しが発生し、新たな遺族間の遺恨を生みかねません。

 そのような問題の解消のため、今回の改正により自筆証書遺言を法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することが出来るようになります。また、亡くなった方が法務局に遺言書を保管してもらっているか調べたり(「遺言書保管事実証明書」の交付請求)、遺言書の写しの交付を請求したり(「遺言書情報証明書」の交付請求)、遺言書を保管している法務局において遺言書を閲覧したり出来るようになるようです。

 法務局に預けられた遺言書については、従来の家庭裁判所による検認の手続きが不要となります。また、ある相続人だけが遺言書の情報を独占しないよう、遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付がされたとき、他の相続人に対し遺言書を保管している旨を通知する制度も出来るようです。

 この制度については、費用や具体的な方法等はまだ議論中のようですので、どのような制度になっていくか注目していきたいです。

 

続く