相続に関する民法の改正6(遺留分制度の見直し)

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相続に関する民法の改正6(遺留分制度の見直し)

2020/01/19

相続に関する民法の改正6(遺留分制度の見直し)

 今回の相続に関する民法改正のトピックは、「遺留分制度の見直し」です。これは2019年7月1日から施行済です。

 そもそも遺留分とは相続人に法律上保障された一定割合の相続財産のことをいい、例えば配偶者と子一人が法定相続人であった場合、遺言で第三者に全て譲る、と書いてあった場合でも、配偶者と子は法定相続分のさらに半分、すなわち各々4分の1づつの相続財産を受け取る権利がある、というものです。

 まず、今回の改正により、遺留分減殺請求権が「金銭請求のみの遺留分侵害額請求権」に変わりました。今までは相続財産が不動産であった場合、遺留分侵害額に応じた不動産の共有持分を取得していました。上記の場合であれば、例えば自宅を配偶者・子・第三者で共有する状態になっていたわけです。住み続けたい配偶者・子と処分したい第三者で新たな遺恨が発生したり、そもそも共有なので処分したくとも意見が合わないというようなことが考えられます。改正後は、自宅が第三者名義に移ったとして、配偶者・子は遺留分侵害額(上記の例の場合、法定相続分の半分にあたる金額)を金銭債権として第三者に請求できるようになります。

 この改正により、遺留分減殺請求権の行使により、共有関係が当然に発生することを回避でき、遺贈等により目的財産を特定の受遺者に与えたいという遺言者の意思を尊重することが出来るというようなメリットが考えられます。

 また、遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに用意できない場合は、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができるという制度も施行済です。

 

続く