登記できる建物と登記できない建物の違いって何?

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登記できる建物と登記できない建物の違いって何?

2020/06/13

登記できる建物と登記できない建物の違いって何?

 全ての建物が登記できるというわけではなく、一定の要件を満たさないと登記できないとされています。

 では、その要件とはいったい何でしょうか。

 実務上、登記できる建物の要件として、①外気分断性 ②定着性 ③用途性 ④取引性 ⑤構築性 が必要であるとされています。それぞれどういったものなのでしょうか。

 

①外気分断性

 建物は壁により外気と分断されていないとならないというものです。ただ、これも用途によって例外があるので注意が必要です。

 居宅であれば四方が壁であるというのはイメージし易いかと思います。例えばコンクリート造の駐車場で三方が壁であり、シャッターを設置していない場合でも、その用途を勘案して登記できることになっています。また、駅のホームの上屋(柱と屋根だけの雨露を防ぐもの)のある箇所やドームでない野球場の場合四方が開放されていますが、屋根のある部分に限り登記できるとされています。(注:駅のホームの上屋は鉄道関係の法律により建築基準法上の建物ではないため、実際は登記されないようです)

 

②定着性

 建物は物理的に土地に固着しており、かつ永続的に使用されていなければならないというものです。

 簡易なプレハブで、基礎工事により土地に定着していないものなどは登記できないことになります。バスや列車を用いたお店がありますが、それも基礎工事がされているかどうかにより判断されることになります。また、住宅展示場のモデルハウスや工事現場の事務所は、基礎工事により土地に定着していても、その利用目的を終えたら撤去される見込みのため、永続的に使用されないと判断され登記できないことになります。

 

③用途性

 建物は屋根や周壁等により区画された建造物の内部空間において、一定の用に供することができる生活空間が形成されていなければならないというものです。つまり、居宅は居宅として使える状態にあるか、倉庫は倉庫として使える状態にあるか、ということです。

 建物の登記は、実は建物が未完成でもすることができます。基準としては建物がその目的とする用途として使える状態にまで工事が進んでいれば登記することができるとされています。居宅であれば、外壁のほか、床は張られているか、天井はあるか、階段はあるか、ひいては住むことができるかにより判断されることになります。

 

④取引性

 その建物が社会通念上、単独で取引の対象にならなければならないというものです。

 例えば昔の田舎の家で、母屋から離れて2㎡の厠(トイレ)があったとします。果たして、その厠単体を売買することが社会通念上あり得るか、ということです。通常それはあり得ないと考えられるので、厠単体を建物表題登記をすることはできないと考えられます。厠は母屋の付属物であると考え、母屋の附属建物として登記することは可能です。

 

⑤構築性

 その建物が材料を使用して人工的に構築されたものでなければならないというものです。

 例えば、自然の洞窟を使用して住居や店舗にした場合、登記することはできないというものです。

 

 いかがでしょうか。建物として登記が可能な建物については、できるだけ登記することが望ましいです。銀行から融資を受けたり相続や売買の際、未登記建物が存在するとスムーズに事が進まなくなることがあります。いざというときに備えることができ、かつ権利を明確化できますので未登記建物を残さないようにしましょう。不明なことがあれば当事務所に問い合せていただければ幸いです。